サラウンドの基本・基礎を学ぶ。立体音響を聴こう!

サラウンド星評

リビング・ホームシアター制作記

今までは、子供が小さいために5.1chサラウンドシステムは二階の六畳洋間にセッティングしていた。
一階のリビングルームにももちろんテレビとプレーヤーはあるのだが、テレビは25型ブラウン管と格安DVDプレーヤーでほとんど子供専用状態だった。
下の子もある程度親の言うことを理解してきたので、リビングルームにサラウンドシステムを移設することを決意した。

リビングシアター計画

リビングにサラウンドシステムを設置しようと思いついたのが、3月位だっただろうか。
5月のゴールデンウィークに作業して完成させようと思った。
もちろん家族サービスは最低限に・・・。
しかし予想以上に時間が掛かってしまい、まだ完成していない。
設計のポイント
1.スピーカーセッティングを理想に近づける。
2.音響をより良く。
3.インテリア家具としてのデザインも考慮する。
4.テレビ台としての機能を充実させる。
5.子供のいたずら対策。
設計ポイントとしての優先順位です。以上の点を考えながら設計していきます。
イメージ・構想

一階(リビング)平面図 我が家のリビングはキッチンと繋がっていて異形だが、今までテレビを置いていた壁面(内幅:262cm)にテレビ台を作り付ける予定。
壁面上部には明かり窓とエアコンがあるが、下は壁だけなのでなんとかなるだろう。

まずは平面的にスピーカーの配置を考えてみる。
スピーカーセッティングシュミレーション図
リスニングポイントを右側カウンター台の少し後方に設定し、サラウンドスピーカーを壁掛けにすれば理想的な角度で配置できる。

理想のスピーカー配置になるようにテレビ台を設計する。
ウッドコーンユニットのスピーカーで5.1chスピーカーシステムを目標に、フロントLRにはキュリアCS-101を使用する想定。
悩んだセンタースピーカーはテレビの上下に2つ配置し、仮想音源としてテレビ中央から音が聞こえるようにした。
テレビ台設計図
しばらくは床に座って音楽を聞いたりテレビを観たりするけども、将来的にはソファー等に座って鑑賞することも考慮して、推奨値より10cm低いFL(床)から1mに高さを設定した。
LFEチャンネルを再生するサブウーファーは、テレビ台埋め込み型として設計。ここは今までの経験上、映画のサウンド再生では大きい信号が含まれている場合があるので再生に余裕を持たせる為、入力100wのフォステクス20cmウーハー「FW208N」を選択した。
左右のスピーカー台は収納力も持たせるとともに、CS-101を設置したときにスピーカーユニット中心が高さ1000mmとなるよう、天板を高さ825mmに設定。

フロントスピーカー周りの壁は高音は拡散させ、低音を吸収させる構造を考えた。チューニングの方向性としては、フロントライブ・リアデッドだ。
我が家の壁はプラスターボード(石膏ボード)に壁紙(ビニールクロス)を貼った構造で、下地は柱と間柱しか無いため、下地づくりと補強をかねて合板を貼ることにした。
低音を少しでも吸収するために吸音層を設け、その上に板を貼る。
上図、A断面図のピンクの部分が吸音層なのだが、ここに何を入れるかを悩む・・・。吸音材として一般的で安価なのはグラスウールなのだが結露の問題が考えられるので今回はパスすることに。
次の候補はウレタンフォームだがコストが高くなる。効果が出るか出ないかわからない所にお金を掛けるのはどうなのか・・・。

材料選定・予算
基本は木材で制作する。
ホームセンターで材料を下調べしてみる。東日本大震災の影響で価格が高騰し、下がってきてはいるがまだ少し高いような気がする。
■合板
  ポプラ合板 910 x 1820 x 11mm 980円
  ラワン合板 910 x 1820 x 12 mm 1280円
  針葉樹合板 910 x 1820 x 12mm 1030円
■集成材・加工材
  パイン集成材 910 x 1820 x 18mm 2980円
  パイン集成材 500 x 4200 x 25mm 6980円
  ヒノキ集成材 500 x 1820 x 25mm 5480円
  ヒノキ集成材 600 x 2000 x 30mm 7150円
  パイン加工材 24 x 24 x 1820mm 448円
■羽目板
  杉羽目板 105 x 1820 x 9mm(8枚入) 1780円
  ヒノキ羽目板 91 x 1820 x 12mm(10枚入) 3980円
■金物類
  ビス
  棚ダボ
  ボルト
  オニメナット
  ネット(金属製) などである。
この日の収穫はウレタンフォーム30mm厚の安いモノ見つけたことだ!
どれを採用するか考え、必要数を計算してみる。

妥協点
スピーカーと壁面の距離に関して、なるべく離した方が低音再生には有利なのは理解しているが、今回は壁の構造と強度アップ、サラウンドアンプの調整機能などによりなんとかなるだろうと判断。
サラウンドスピーカーの距離も他のスピーカーよりも近いが、これもアンプ調整機能に任せる。
LRスピーカーの台も収納スペース確保のため開放的ではない。
上部にも物を置いたりできるように棚板を設置する。
サブウーハーには子供のいたずら防止用のネットも設置しなくては・・・。

すべて理想とはいかないまでも、限られた生活スペースにできるだけのことはしたつもりだ。
まあ音響なんか計算どおりいくはずもないし・・・。

テレビ台制作

ゴールデンウィークに入ったらすぐに作業が開始できるように、あらかじめ出来る限りの材料とパーツは用意しておく。

配線
100V電源とLAN配線をあらかじめ適切な位置で使えるように配線しておく。

材料選定
以前に調べておいた種類と価格をもとに、材料を選定する。
「少しでも安く、より良い音に。」
を目標に、18mm厚のパイン集成材をメインに使用して、天板は25mmでメイン天板をパイン材、スピーカー天板をヒノキ材と使い分けた。
合板には針葉樹を使い、吸音層には30mmウレタンフォームを入れる。
反射板は少し高いが、ヒノキの羽目板を選択。

テレビ台下部
まずはベース部分を床へ直に留めていく。
一見して壁は垂直直角、床は水平に見えるが現状は不陸である。
ベース部は今後のことも考えれば一番重要な部分なので、何度も作業場に戻りミリ単位で調整していく。
工程としては切断→調整→塗装→乾燥→設置とパーツごと順番に行っているのですごく手間がかかる。
塗料は体に無害といわれている物を使用しているが、塗装後はにおいがするのでできるだけ乾燥させてから部屋に入れるようにしている。

ほぼ出来上がったテレビ台下部。
シンプルで「このままでもいいんでないかい?」と思ってしまう。

テレビ台上部
針葉樹合板を壁に貼っていく。
吸音層にはウレタンフォームを入れるが、その隙間にスピーカーケーブルやその他配線用のパイプを設置しておく。
サラウンドシステムともなるとスピーカーケーブルだけで6本分。他にHDMIケーブルや電源コードなど配線だらけになってしまいます。
実は今回のテレビ台設計で結構考えたのはコード類の取り回しで、できるだけ隠蔽させてスマートに見せるように苦労しました。
サラウンド&センター上スピーカー用ケーブルやTVアンテナケーブルも吸音層に配線していきます。
図面や写真では見えないが、サブウーハーの後ろにはコンセントと手の入るスペースが確保されていて、余分なコードを収納できるような工夫がしてあります。

ここまでで4、5日ぐらい経っている。
試行錯誤しながら製作しているので設計変更も常に行っています。
スピーカー台の側面のヒノキ板は一時反射音を拡散させるために延長することにしました。


ウレタンスポンジを吸音層に入れて、ヒノキ羽目板を貼っているところ。
羽目板はボンドで接着しているので剥がす時は壊すときである。

この羽目板を貼る作業はゴールデン期間中にできなかったので、その後の休みを利用して行っています。
作業的には予定より遅れましたがうれしい誤算は、工程毎に音響の変化を体験できたことです。
ちなみに音(響き)は
◎ ヒノキ羽目板貼り付け後 
○ 針葉樹合板のみ
△ テレビ台下部のみ完成(プラスターボード)
× ウレタンフォーム切り張り・埋め込み

ルームチューニングの結果としてフロント音響はデッド(響かない)ではなく、ライブな設定でOKだったことが確認できました。

リビングシアター完成

棚板の取り付け、扉の取り付け、塗装などを終えてテレビ台として完成したのが下の写真。構想から約4ヶ月ほど掛かりました。

埋め込みサブウーファーには金属ネットグリルを装着。
上部Fix窓には遮光ロールスクリーンを取り付け。

テレビ台上部の棚板を付けた時に響きが悪化したように感じた。音響的には無い方がいいのだろう。
サラウンド用のスピーカーケーブルは、オリジナル木製モールで配線。(将来塗装予定)。とりあえず、DENONの小型スピーカーを取り付け。

ラック部の扉は三箇所に鍵を着け、そのうち中央上部に、マルチプレーヤーとサラウンドアンプを収納。子供に悪戯されない!
その下は扉を付けずに開放させ、子供用DVDプレーヤーとゲーム器を置いてあります。

センタースピーカーは棚板の支えも兼ねているので、オリジナルスピーカーを作って装着。この台形の形が良いらしく、仮で付けていた10cmウッドコーンより定位がはっきりして、いい音がでるようになりました。

問題点
サブウーファーを大音量で鳴らした時に右側スピーカー台の下の扉がビビッてしまうので、マグネットキャッチを増設したりして対策をしなければならないと思います。

再オートセットアップ(アンプ)
いままで製作の過程で何度もアンプのオートセットアップをしてきたのですが、テレビ台が完成したことで、再度オートセットアップを実施。
DENONのサラウンドアンプAVC-S500HDは最高6箇所までの測定できます。
いままでは時間も掛かるし、大きな音がでるので1〜3箇所の測定しか行っていませんでしたが、今回はMAX6箇所測定にチャレンジです。

結果は、リスニングエリアが広がり、広い場所で最適な音声が聴けるようになりました。
説明書にはなるべく多くの場所で測ることが推奨されていますので、素直に従うのが良い結果につながるようです。
ただし、視聴は椅子に座って一人だけという条件でしたら、多く測るよりも3箇所程度と少なめにしておく方がいいような気がします。

今後の予定
今後はセンタースピーカー下側とサラウンドスピーカーを8cmウッドコーンスピーカーで製作し、テレビを設計の高さまで上げる予定です。

その後、サラウンドスピーカーを製作・設置しました。

五角形の壁付け密閉型です。
サラウンドスピーカーはリスニングポイントの後ろに設置する為、スピーカーユニットが壁面から15度前方に向くように設計。(写真は右側サラウンドSP)
左右の干渉を抑える目的もあります。

設置後に再セットアップを実行。
DTSデモDVDを試聴しましたが、音のつながりが良くなったのはもちろん、前方の奥行き再現力が豊かになりました。
手前の音が画面より前に出てきます!

だまって見せた嫁も同じことを言っていたので明らかに違いが出ています。